第9章 林間合宿
褒められた洸太は、少しだけ頬を赤くした。
そして、壁の上から女子風呂へ視線を向ける。
――どんな人たちがいるんだろう。
ほんの少し、好奇心が湧いたのだろう。
しかし、視線を下へ向けた瞬間、洸太の動きが止まった。
湯気の向こう。
楽しげに笑う女子たち。
そして、その中にいたおもちが、濡れた長い黒髪を片手でかき上げた。
月明かりを受けた裸は、まるで絵画のように美しかった。
洸太は、固まった。
「…………」
数秒後。
「……っ!?」
ぼんっ、と顔を真っ赤にして、洸太は壁の向こうへ消えた。
「えっ、洸太くん!?」
女子たちが驚く。
その頃、男子風呂では。
「うおっ!?」
壁の向こうから小さな影が落ちてきた。
緑谷が慌てて両腕を伸ばし、なんとか受け止める。
「わっ!洸太くん!?大丈夫!?」
「…………」
洸太は緑谷の腕の中で、顔を真っ赤にして鼻血を流したまま固まっていた。
「どうしたんだ、洸太!?」
洸太は答えない。
ただ、真っ赤になった顔を両手で覆い、緑谷の腕の中で小さく縮こまっていた。
「……刺激が、強すぎた……」
ぽつりと零れた言葉に、周囲の男子たちも顔を赤らめた。
その隣では、爆豪が深々とため息をついていた。
「クソが……風呂くらい静かに入らせろ」
そう吐き捨てながらも、彼の耳は、壁の向こうから聞こえる女子たちの笑い声を拾っていた。