第9章 林間合宿
一方、男子風呂では。
峰田が勢いよく立ち上がった。
「この壁の向こうに女子たちがいるんだぜ?入浴時間を男女別にしないなんて、これもうあれだろ?」
「やめたまえ、峰田君!!」
飯田が即座に腕を伸ばして制止する。
「峰田くん!君がしようとしている行為は、ルール違反の前に人としてダメな行為だ!」
「聞こえてるだろ?女子たちの話し声が、この壁一枚隔てた向こうに女子たちも入浴してるんだぜ?」
そう問いかける峰田の言葉にごくりと生唾を飲みこむ、男子生徒達。
「君というやつは、やめたまえ!!」
「…うるさいんすよ」
と悟りを開いたかのような表情から一変、飯田の制止を振り切り、峰田は壁へと走った。
彼の個性であるもぎもぎを利用し、壁に次々と張り付いて登っていく。
「プルスウルトラーーーー!!」
峰田の声が浴場に響いた。
「この壁の向こうに・・!!」
そして、壁の上に手をかけた、その瞬間。
「……何してんだ、お前」
上から、冷ややかな声が降ってきた。
峰田が顔を上げる。
そこには、壁の上で見張りをしていた洸太がいた。
「え?」
洸太は眉を寄せ、峰田の顔をじっと見つめた。
「ヒーロー以前に、まず人としてやり直せ」
言い訳をする間もなかった。
バシッ!!
洸太の小さな手が、峰田の頭を容赦なく叩いた。
「ぐえっ!?」
壁に張り付いていた峰田の身体がぐらりと揺れる。
「うわあああああっ!!」
峰田は見事に壁の向こうから落下していった。
下に居た飯田が、落下する峰田とぶつかる
盛大な絶叫が響き、男子風呂が一瞬静まり返る。
「……」
「……」
「……ナイス、洸太くん!!」
壁の向こうから、女子たちの歓声が上がった。
「やっぱり、最低ね、峰田ちゃん」
「ありがとねー!」
「助かったわ!」
「いぇーい!」
洸太は、ふん、と小さく鼻を鳴らした。
「……べ、別に!」