• 小
  • 中
  • 大
  • テキストサイズ

光の裏側で、君と ※ヒロアカの爆豪寄り

第9章 林間合宿


入浴時間を告げる声が響く頃には、食堂の賑わいも少しずつ落ち着き始めていた。

おもちは女子たちより一足先に脱衣場へ向かい、汚れた制服を脱いだ。森を駆け抜けたせいで、身体には汗と土埃がまとわりついている。

浴室に入ると、まずは丁寧に身体を洗った。

温かな湯で汗を流し、肌に残った土埃を落としていく。腕や脚には小さな擦り傷がいくつか残っていたが、幸い、どれも大したものではなかった。

最後に髪を洗い、長い黒髪をまとめる。

ようやく身体のべたつきが消えると、彼女はほっと息をついた。
そして、露天風呂へと足を向ける。
ちゃぷん、と小さな水音が夜の空気に溶けた。


「……はぁ」


湯に身を沈めると、知らず知らずのうちに強張っていた身体から力が抜けていく。
昼間の森では、息を切らしながら走り続けた。個性が使えないことを意識しないように、仲間たちの足を引っ張らないようにと、必死だった。
今になって、ようやく自分が疲れていたことを実感する。

彼女は背もたれに身体を預け、ゆっくりと夜空を見上げた。

都会ではなかなか見られない、澄み渡った星空。

木々の隙間から覗く星々は、まるで夜の帳に散りばめられた宝石のように輝いていた。

「綺麗……」
自然と、声が零れる。


頬を撫でる夜風が心地よい。湯の温もりに包まれながら、彼女はしばらく何も考えず、ただ星を眺めていた。

やがて、湯に浸かった長い黒髪が肩や背中に張り付いていることに気づく。

彼女は濡れた髪を片手でそっとかき上げた。

白い首筋が露わになり、雫が細い肩を伝って湯の中へ落ちていく。

その仕草は、本人にとっては何気ないものだった。
/ 603ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp