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光の裏側で、君と ※ヒロアカの爆豪寄り

第9章 林間合宿



お願い!
少しでいい、
今だけでいいから!!
彼女は、震える指先に力を込めた。


しかし、何も起こらない。
個性は沈黙したまま、身体の奥底からは何の反応も返ってこなかった。


「……っ」
ふわり、と血の気が引いていく。


頭の中が冷たくなる。

本当に、使えないのだ。

どれほど望んでも、どれほど必要としても、今の自分には何もできない。
その現実が、容赦なく突きつけられた。


彼女は顔を上げた。
目の前にあるのは、土でできた巨大な顔。目も口も形ばかりで、意思など持たないはずの魔獣だった。

ただ、命令に従って動く個性の産物。

彼女は、その魔獣を見据えた。



そして――ほんの一瞬。


鋭く、にらみつけた。
普段の彼女からは想像もつかないほどの、冷たい眼差し。


そこには恐怖も、戸惑いもなかった。
ただ、圧倒的な殺気だけがあった。


まるで、目の前にいる存在を、絶対に許さないとでも言うように。
その瞬間、土魔獣の動きが、ぴたりと止まった。


「……?」
彼女自身も、何が起きたのか分からなかった。

土魔獣の指先がわずかに震える。
巨大な身体が、怯んだように後ずさった。
意思など持たないはずの土の塊が。


まるで、彼女の眼差しに恐怖を覚えたかのように。

土魔獣は、捕らえていた彼女をそっと離した。


「……え?」


身体が宙に投げ出される。

「危ねぇ!!」
爆豪が地面を蹴った。

爆発で加速し、土埃の中へ飛び込む。落下してきた彼女の身体を、間一髪で抱き留めた。

衝撃を殺すように片腕で支え、もう片方の手で彼女の頭をかばう。

「っ、おい……!」

怒鳴りかけた爆豪の声が、途中で止まった。

おもちは、何が起きたのか分からないという顔で、ただ土魔獣を見つめていた。

轟も、緑谷も、飯田も、誰もが動きを止めている。

土魔獣は彼女を放したあと、しばらくその場に立ち尽くしていた。やがて何事もなかったかのように、ゆっくりと別の方向へ動き始める。

まるで、彼女を襲うことなど、最初から考えていなかったかのように。
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