第9章 林間合宿
午前九時三十分。
バスが停車すると、窓の外には緑豊かな山々が広がっていた。
「着いたぞー!!」
上鳴が勢いよく立ち上がり、窓の外を指差す。
「おおっ、すっげぇ山!!」
「空気が美味しそうだね!」
芦戸たちも、期待に満ちた表情で荷物を手に取った。
待ちに待った林間合宿。ここからどんな訓練が始まるのか、誰もが胸を躍らせていた。
バスを降りたA組の前に現れたのは、四人組のプロヒーロー、ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツだった。
「ようこそ、みんな!待ってたわよ!」
明るく手を振るマンダレイ。
その隣では、ピクシーボブがにこにこと笑い、ラグドールが元気よく手を振っている。虎は腕を組み、生徒たちを見渡していた。
「プッシーキャッツだ!!」
緑谷が目を輝かせる。
「うわっ、本物だ!」
クラスメイトたちが口々に感激する中、おもちも静かに彼女たちを観察していた。
明るく親しみやすい雰囲気。しかし、四人ともプロヒーローとしての隙はない。とりわけピクシーボブは、山中での訓練を担当するだけあって、地形を利用した戦闘に長けているように見えた。
そんなことを考えていると、ピクシーボブがぱん、と両手を叩いた。
「さあ、みんな、さっそくだけど訓練を始めるわよ!」
「えっ、もう!?」
上鳴が目を丸くする。
「当たり前でしょ!合宿に遊びに来たわけじゃないんだから!」
ピクシーボブは自信満々に胸を張った。
「今から、みんなには森を抜けて合宿所まで自力でたどり着いてもらいます!」
彼女が指差した先には、木々が生い茂る広大な森が広がっていた。
日の光が枝葉に遮られ、奥へ進むほど薄暗くなっている。整備された道など見当たらない。足場の悪い斜面や、どこまで続いているのか分からない木々の間を抜けていかなければならないようだった。
「えーっと……合宿所までは、どのくらいあるんですか?」
飯田が手を挙げて尋ねる。
「ここから三時間!制限時間は十二時三十分までよ!」
「三時間!?」
「ちょっと待って、今九時半だよね!?」
芦戸と上鳴が顔を見合わせた。
「そう!今から三時間かけて、魔獣の森を抜けて、施設を目指してもらうわ!」