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光の裏側で、君と ※ヒロアカの爆豪寄り

第9章 林間合宿


隣の轟も、静かに耳を傾けている。

「……どうかな?」

歌の合間、彼女がふと隣を向いて尋ねた。
轟は少しだけ目を見開いた。

「……うまいと思う」

「本当?」

「ああ。楽しそうだ」
その答えに、彼女は嬉しそうに微笑んだ。

「よかった」
その一瞬の笑顔に、轟は目を細めた。

彼女が楽しそうにしている。
それだけで、なんとなくこちらまで気分がよくなる。

やがて、曲は終盤へと差し掛かった。
車内はすっかり静まり返っていた。
先ほどまで大騒ぎしていた上鳴も、芦戸も、今は彼女の歌声に聴き入っている。

そして最後の音が消えた瞬間――。

「…………」

一拍の沈黙。
次の瞬間、車内が爆発した。

「うわああああ!!めっちゃよかった!!」

「おもちちゃん、歌うますぎない!?」

「もう一曲!もう一曲歌って!!」

「いや待て!今の、録音しておきたかったんだけど!?」

「上鳴くん、そういうのは駄目よ!」
歓声と拍手が一斉に沸き起こる。

彼女は目を丸くした後、照れたように笑った。

「……ありがとう。そんなに喜んでもらえるとは思わなかったわ」

「いやいや、これは喜ぶでしょ!てか超上がるんですけど!?」
芦戸が身を乗り出す。

「普段のおもちも素敵だけど、歌ってる時のおもち、めちゃくちゃ可愛かった!」



思いがけない評価に、彼女は少し困ったように首を傾げた。

「ええ!すっごく!」

「うん。いつもと違う一面が見られて、なんかドキドキした」
麗日も笑顔で頷く。

彼女は少しだけ頬を染め、マイクを胸元へ下ろした。

「……なんか、恥ずかしいね」

「待って、その照れ顔も可愛いんだけど!」

「もう一曲歌ってほしい!」

「次は何にする!?バラード?それとも可愛い系!?」

「ちょ、ちょっと待って。私は一曲歌っただけなのだけれど……」

困惑する彼女を見て、轟が小さく笑った。

彼女は呆れたように笑い、リモコンを芦戸へ返した。
けれど、表情はどこか晴れやかだった。
久しぶりに歌ったその曲は、懐かしさだけでなく、今ここにいる仲間たちとの新しい思い出にもなった。

窓の外では、緑豊かな山々が少しずつ近づいてきている。
これから始まる林間合宿。

彼女にとっても、この夏が忘れられない時間になる。
そんな予感が、胸の奥に静かに芽生えていた
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