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光の裏側で、君と ※ヒロアカの爆豪寄り

第9章 林間合宿


「……ありがとう、轟君」

「別に」

轟は再び窓の外へ視線を戻した。
その横顔を見ながら、彼女はそっと手を開いた。

何も起こらない。

けれど、今はそれでもよかった。

焦っても、答えが出るわけではない。
自分にできることを探しながら、待つしかないのだ。

「……ねえ、轟君」

「今度はなんだ?」

「林間合宿では、個性の使い方を見せてもらってもいいかしら?」

轟は一瞬だけ目を丸くした。

「俺の?」

「ええ。炎と氷、それぞれの動きや発動のタイミングを、もう少し詳しく観察してみたいの」

「……構わねぇけど」

「ありがとう。助かるわ」
彼女は満足そうに頷いた。

その時、前の席から上鳴が勢いよく振り返った。

「おーい!二人とも、何こそこそ話してんだよ!せっかくのバス移動なんだから、もっと盛り上がろうぜ!」

「そうだよ!次、デュエットしようよー!」

芦戸の声が続く。

「……楽しそうね」
彼女が笑うと、轟は小さく息を吐いた。

「……ああ。いつも通りだ」

「ふふ」
再び賑やかな声に包まれる車内。
彼女は、窓の外に広がる緑を眺めながら、そっと目を細めた。

個性は、まだ戻らない。
その事実は変わらないままだ。

それでも、彼女には今、観察できるものがあり、話を聞ける仲間がいる。

焦らずに、少しずつ。

この林間合宿が、自分にとって何かを見つけるきっかけになればいい。
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