• 小
  • 中
  • 大
  • テキストサイズ

光の裏側で、君と ※ヒロアカの爆豪寄り

第8章 夏休み


隣から、しゃくり上げるような声が聞こえた。

見ると、芦戸が俯いていた。

「芦戸さん?」

おもちが呼びかけるより先に、芦戸は彼女のベッドへ身を寄せた。

「ごめんね……!」

赤くなった目から、ぽろぽろと涙がこぼれる。

「私がプールに誘ったから……!」

「え?」

「メールで、絶対来てねって送ったじゃん……!おもちが断りづらかったのかもしれないのに、私、何も知らなくて……!」

芦戸は彼女の肩口に額を寄せ、声を震わせた。

「こんなに大変なことになってるなんて、全然知らなかった……。気付いてあげられなくて、ごめん……!」
その言葉に、おもちの表情がふっと柔らかくなった。

彼女はゆっくりと腕を伸ばし、芦戸の背中にそっと手を回した。

「……芦戸さん」

そして、泣いている彼女を優しく抱きしめる。

「ううん。言わなかった私が悪いから」

「でも……っ」

「芦戸さんは、私と一緒に遊びたかっただけでしょう?」

芦戸が小さく頷く。

「だったら、謝らないで」

おもちは、いつもの落ち着いた声で続けた。

「私も、みんなと一緒に過ごせて楽しかったわ。誘ってくれて、ありがとう」

「……おもちぉ……!」
芦戸はますます泣きながら、彼女にしがみついた。

その背中を、おもちは何度も優しく撫でた。
まるで、泣いている子どもをあやすように。

その光景を見ていたクラスメイトたちの表情も、少しずつ変わっていった。

切島は心配そうに眉を下げ、上鳴は唇を噛んでいる。緑谷は何か言いたそうにしながらも、今は黙って彼女を見守っていた。

轟も、静かにベッドのそばに立っていた。

そして、爆豪は腕を組んだまま、彼女から目を離さなかった。
個性が使えなくなったことを、まるで大したことではないかのように話す彼女。
泣いている芦戸を、逆に慰めている彼女。

自分自身だって、今まで通りではいられないはずなのに。

どうして、そんなふうに笑っていられる。

どうして、自分のことよりも、周りの人間を気遣える。

「……チッ」

爆豪は小さく舌打ちした。

その音に気付いたおもちが、芦戸の背中を撫でながら彼を見る。


/ 603ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp