• 小
  • 中
  • 大
  • テキストサイズ

光の裏側で、君と ※ヒロアカの爆豪寄り

第8章 夏休み


水着から着替えを済ませたA組の生徒たちは、相澤の指示を無視して、結局、保健室の前に集まっていた。

いつもの賑やかさはない。
廊下には、落ち着かない様子で行ったり来たりする者もいれば、壁にもたれて腕を組み、じっと扉を見つめている者もいた。

「……まだかな」

葉隠が不安そうに呟く。

「リカバリーガールが診てくれてるんだ。きっと大丈夫だよ」

麗日はそう言ったものの、その声にも心配が滲んでいた。

彼女が倒れたのは、本当に突然だった。
少し前まで、皆と笑っていたのだ。ビーチボールで遊び、ジュースを飲み、何気ない会話を交わしていた。

それなのに、ほんのわずかな時間で、あんなにも顔色を悪くして意識を失ってしまった。

「着替えも必要だったでしょうし、処置にも時間がかかっているのかもしれませんわね」

八百万が静かに話す。

誰もが、その言葉に頷いた。
今はリカバリーガールから入室の許可が出ていない。彼女の着替えや必要な処置を行っているのだろう。そう考えるのが自然だった。

ただ一人、爆豪だけは黙ったまま、扉から視線を外さなかった。

濡れた髪を拭き、着替えを済ませてから、ずっとこの調子だった。

「爆豪、ちょっと座ったらどうだ?」

切島が声をかける。

「うるせえ」

「いや、別にいいけどよ……」
切島は苦笑したが、それ以上は何も言わなかった。
爆豪の機嫌が悪いのは、いつものことだ。

しかし、今日のそれは少し違っていた。

眉間の皺が深い。腕を組む指先には力が入り、視線は一度も扉から離れない。
まるで、扉の向こうで何が起きているのか、少しでも早く知りたいとでもいうように。

爆豪の脳裏には、彼女の腕に残っていた採血の痕が焼きついていた。
検査。

昨日、病院で何を調べたのか。
なぜ、彼女はそのことを誰にも話していなかったのか。

そして、今日のあの異変と関係があるのか。
考えれば考えるほど、苛立ちが募った。
/ 603ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp