第8章 夏休み
そのとき。
「おーい!こっちだぞー!」
プールサイドの入り口から、男子たちの声が聞こえてきた。
ぞろぞろと姿を現したのは、A組の男子たちだった。
その姿を認めた瞬間、峰田と上鳴の目が輝く。
「おおおっ!女子の水着イベントだぁぁ!」
「今日は日光浴って聞いたから、もしかしてって期待して来たのに……!」
二人はプールサイドに並ぶ女子たちを見渡し、次の瞬間、がっくりと肩を落とした。
「スク水かよぉぉぉ!!」
「いや、スク水もいい!いいんだけどさぁ!もっとこう、夏らしい水着とか……!」
「峰田くん、上鳴くん。何を期待していたのかな?」
麗日がにっこりと笑う。
その笑顔に、二人の背筋がぴんと伸びた。
「イエ、ナンデモアリマセン」
「そう?ならいいけど!」
女子たちは呆れたように笑い、おもちも思わず口元を緩めた。
「男の子って、いつも元気ね」
「おもちちゃん、それ絶対に褒めてないでしょ!」
芦戸がすかさず突っ込む。
そんなやり取りをよそに、麗日は持参していたビーチボールを両手で掲げた。
「みんなー!せっかくやから、これで遊ぼう!」
「いいね!ビーチバレーしよう!」
「私、ボール遊び大好き!」
女子たちのテンションは一気に上がった。
麗日は待ちきれないとばかりにプールへと駆け出すと、そのまま勢いよく水の中へ飛び込んだ。
ばしゃんっ!
大きな水しぶきが上がる。
「お茶子ちゃん、豪快ね」
「冷たくて気持ちいいー!」
次々とプールに入っていく女子たち。
笑い声と水音が重なり、プールサイドはたちまち賑やかになった。
その一方で。
「よし!全員集合!これより筋力向上トレーニングを開始する!」
飯田が眼鏡を光らせ、よく通る声で宣言した。
「「「ええええええっ!?」」」
男子たちの悲鳴が響き渡る。
どうやら彼らは、プールの使用許可を筋力向上トレーニングという名目で得ていたらしい。
「せっかくのプールなのに、なんでトレーニングなんだよ!」
「許可をいただく以上、明確な目的を提示するのは当然だろう!さあ、まずは水中での負荷を利用した基礎体力の向上だ!」
「飯田、お前マジメすぎんだろ……!」
峰田が頭を抱え、上鳴が遠い目をする。