第7章 期末テスト編
彼女も、ほんの少しだけ口元を緩める。
けれど、オールマイトの胸に残った不安は消えなかった。
あの目は、単なる怒りだけで説明できるものではなかった。
長年、数多くの敵と対峙してきた彼だからこそ分かる。
あれは、誰かを脅すために作られた表情ではない。
本当に人を傷つけることができる者の目だった。
そして、何より恐ろしかったのは――。
彼女自身が、そのことに気づいていなかったという事実だった。
「……今日は、もう休みなさい」
「はい。ありがとうございます、オールマイト」
彼女はいつもの穏やかな表情で頷いた。
その隣では、爆豪がまだ眠っている。
緑谷は二人の様子を見比べながら、何かを考えるように黙り込んでいた。
三人で力を合わせ、ようやく合格を掴んだ実技試験。
その結果だけを見れば、彼らは確かに一歩前進したのだろう。
けれど、あの一瞬を目撃した者たちの胸には、別の疑問が残っていた。
彼女の中には、一体何が眠っているのか。
そして、彼女自身さえ知らないその何かが、再び顔を覗かせる日は来るのだろうか。