第7章 期末テスト編
試験終了のブザーが鳴り響いた。
『緑谷出久、爆豪勝己、おもち。三名、合格!』
スピーカーから流れた判定に、モニタールームの空気がわずかに緩んだ。
「いやぁ、最後は驚かされたね!」
プレゼント・マイクが腕を組み、モニターを指差す。
「最初はどうなることかと思ったぜ! 爆豪は突っ走るし、緑谷はそれを追いかけるし! 連携なんて、ほとんどゼロだったじゃねえか!」
「確かに、開始直後は互いの動きを妨げているようにすら見えましたね」
セメントスが頷いた。
「それでも、戦闘の途中から少しずつ変化が見られました。緑谷くんが状況を分析し、爆豪くんがその作戦に合わせて動く。口では反発し合っていても、互いの力を利用することを覚え始めていた」
「最後には、二人ともほとんど考えるより先に動いていましたね」
十三号が静かに続けた。
「仲間が捕まった瞬間、迷わず救出に向かった。あの瞬発力は見事でした」
モニターには、オールマイトに捕らえられたおもちへ向かって、爆豪と緑谷が同時に駆け出す場面が映し出されていた。
つい先ほどまで、顔を合わせるたびに衝突していた二人。
それが、彼女が捕らえられた途端、まるで示し合わせたかのように連携した。
「ふむ……」
根津校長が楽しげに目を細めた。
「二人にとっては、相手の欠点ばかりが目についていたのでしょうね。しかし、仲間を救うという共通の目的が生まれた瞬間、そんなことはどうでもよくなった」
「もっとも、明日から急に仲良くなるとは思えませんが」
相澤が疲れたように付け加える。
「そこは期待しない方がいいでしょうね」
教師たちの間に、小さな笑いが起こった。
だが、相澤の視線はすぐに、モニターの別の場面へと戻った。
オールマイトが彼女の髪を掴み、挑発の言葉を投げかけた瞬間。
そして、彼女が顔を上げた、その一瞬。
画面の中の少女は、普段の落ち着いた表情を完全に失っていた。