第7章 期末テスト編
しばらく、二人の間に沈黙が続いた。
やがて爆豪が、ぽつりと口を開く。
「……今日、楽しかったか」
彼女は少し驚いたように彼を見た。
「うん。楽しかったよ」
「……そうかよ」
それだけ言って、爆豪は前を向いた。
彼女はその横顔を見つめ、少しだけ笑った。
「爆豪くんも、楽しかった?」
「はァ!? 別に普通だわ!」
「そう?」
「そうだ!」
「ふふっ。なら、よかった」
爆豪はそれ以上、何も言わなかった。
けれど、改札を通る直前。
「……次は、もうちょい遅く来いよ」
ぶっきらぼうな声が落ちた。
彼女は目を瞬かせる。
「どうして?」
「……早く来すぎんのも面倒なんだよ」
「分かった。気をつけるね」
爆豪は顔を背けた。
彼女は気づいていなかった。
今日、爆豪が彼女に声をかけたのは、単にナンパされていたからだけではない。
彼女が何事もないように振る舞いながら、どこか無理をしているように見えたから。
そして、こうして一緒に過ごしてみると、学校で見ている彼女とは違う一面が、少しずつ見えてきたからだった。
まだ、知らないことばかりだ。
それでも、次に会う約束がある。
その事実が、三人の距離を、ほんの少しだけ近づけていた。