第7章 期末テスト編
「じゃあ爆豪も約束するか?」
「あ?」
切島がにやりと笑う。
「今度、三人で飯食うときは、爆豪の好きなもん食いに行こうぜ!」
「はァ?」
「だって、今日は俺とおもちが同じもん食ってんじゃん。次はお前のおすすめでいいだろ?」
爆豪は一瞬、言葉を失った。
そんなことを、わざわざ自分に提案するとは思わなかったらしい。
「……別に、俺に合わせる必要ねぇだろ」
「いいじゃん! 俺、うまい店知りたいし!」
切島は屈託なく笑った。
「おもちもどうだ?」
「うん。行ってみたいな」
彼女も自然に頷いた。
「爆豪くんのおすすめ、気になるし」
「……チッ」
爆豪は顔を背けた。
「……気が向いたらな」
「おっしゃ! 決まり!」
「決まってねぇ!」
切島の笑い声が響く。
彼女はそんな二人を見ながら、胸の奥が少しだけ温かくなるのを感じていた。
誰かと約束をする。
また会うことを前提に、次の話をする。
それは彼女にとって、これまで当たり前のようでいて、そうではなかったことだった。
任務では、次に会える保証などない。予定が変われば、連絡もできない。自分がどこにいるのか、誰と何をしているのか、話せないことばかりだった。
けれど、今は、期末試験が終わったら、また三人で食事をする。
そんな小さな予定ができた。
「……楽しみだね」
彼女がぽつりと呟く。
切島がすぐに顔を上げた。
「おう! 絶対行こうな!」
爆豪は何も言わなかった。
ただ、先ほどより少しだけ柔らかい表情で、残りのハンバーグを口に運んでいた。