第7章 期末テスト編
ファミリーレストランに入ると、冷房の効いた空気が三人を迎えた。
「涼しーっ!」
切島が思わず声を上げる。
「生き返るわ、マジで……」
彼女も小さく息を吐いた。
「本当ね。外、思ったより暑かったから」
「だろ? 俺も駅から歩いてきただけで汗かいたぜ」
席に案内され、三人は窓際のテーブルに腰を下ろした。
彼女はトートバッグから教科書とノート、筆記用具を取り出して並べる。
その隣で、切島がテキストを開いた。
「よし! じゃあ、まずは法律学から頼むわ!」
「うん。どのあたりが苦手?」
「えっと……ヒーロー活動の制限とか、個性使用の規定とか、そのへん!」
「分かった。じゃあ、条文を一つずつ暗記する前に、まずは全体の仕組みを整理しようか」
彼女はノートに簡単な図を書き始めた。
「まず、ヒーローが活動できる範囲と、緊急時に認められる行為は分けて考えるといいよ。
通常時の権限と、救助や人命保護のために必要となる判断は、似ているようで違うから」
「おお……!」
切島が身を乗り出す。
「なるほど! そうやって分けるのか!」
「そう。例えば――」
彼女は具体例を挙げながら、規定の違いを丁寧に説明していく。
難しい言葉をそのまま並べるのではなく、実際の現場でどんな状況が起こり得るのかを想像させる。
切島の表情は、話が進むにつれて明るくなっていった。
「やべぇ、めちゃくちゃ分かりやすい! 教科書だけ読んでたときは、全部同じに見えてたのに!」
「違いが分かれば、覚える量も少なく感じるでしょう?」
「すげぇな……。これならいける気がする!」
そのやり取りを、向かい側の席から爆豪が聞いていた。
彼も教科書を開いてはいる。
だが、先ほどからページをめくる手が妙に遅い。
「……おい」
「何?」
彼女が顔を上げる。
「その説明、俺にも聞こえるように言えや」