第7章 期末テスト編
「勉強しに来んだろうが! その格好で来る必要あんのか!?」
「必要はないけど、着てはいけない理由もないでしょう?」
「そういう問題じゃねぇ!」
「ええと……趣味、かな?」
彼女は少し考えてから答えた。
公安から用意された服だとは言えない。
かといって、適当な嘘を重ねるのも面倒だった。
だから、最も簡潔な答えを選んだ。
「趣味ィ!?」
爆豪の声が裏返る。
その隣で、ようやく状況を理解した切島が、彼女を上から下まで見て、勢いよく叫んだ。
「いや、ギャップやべぇな!!」
「そう?」
「そうだよ! 学校じゃあんなにクールなのに、私服が想像の斜め上いったわ! 普通にびっくりした!」
「ありがとう?」
「褒めてる褒めてる!」
切島は笑いながら頷いた。
一方、爆豪はまだ納得していない顔をしている。
「……つーか、お前」
「?」
「そいつら、何だ」
爆豪の視線が、彼女の後ろにいた男たちへ移った。
それまで成り行きを眺めていた三人は、彼女と知り合いらしい男子高校生が二人現れたことで、少し気まずそうな顔をしていた。
「いや、別に。ちょっと話してただけだよ」
男の一人が笑って答える。
「この子、可愛いからさ。よかったら一緒に遊ばないかって誘ってたんだよ」
「断ってんだろ」
爆豪の声が低くなる。
「え?」
「嫌だっつってんのが分かんねぇのかって聞いてんだよ」
「いや、そんな怒んなくても……」
「爆豪、まあまあ」
切島が一応なだめる。
しかし、爆豪の目つきは険しいままだった。
彼女はそんな爆豪を見て、少しだけ首を傾げた。
「もう大丈夫だよ」
「……お前が大丈夫かどうかの話じゃねぇ」
「?」
「……チッ!」
爆豪は苛立たしげに舌打ちした。
結局、男たちは「じゃあ、またね」と気まずそうに言い残し、足早に立ち去っていった。
彼女はその背中を見送ると、ほっとしたように息をつく。
「ありがとう。助かったよ」
「おう! ああいうの、しつこいと困るよな!」
切島が明るく答えた。
「まあ、おもちなら一人でも何とかしそうだけどさ」
「どうだろう。相手を傷つけずに断る方法を考えていたところだったから、少し助かったかな」
「お前、そんなことまで考えてたのかよ……」
爆豪は呆れたように呟いた。