第7章 期末テスト編
「うわ、ナンパか?」
切島が眉をひそめた。
「嫌がってるっぽいな。ちょっと声かけるか」
「……チッ。くだらねぇ」
爆豪は面倒くさそうに舌打ちした。
しかし、そのまま通り過ぎようとした足が、不意に止まる。
見覚えのある背格好だった。
肩に掛けたトートバッグ。
すらりとした脚。
そして、男たちを前にしても妙に落ち着き払った立ち姿。
(……ん?)
爆豪は目を細めた。
服装は、まるで見覚えがない。
それでも、女が顔をこちらに向けた瞬間、確信した。
「……は?」
そこにいたのは、おもちだった。
「おーい! おもち!」
切島が大きく手を振りながら近づいていく。
彼女は声に気づいて振り返った。
「あ、切島くん。爆豪くんも」
いつもの穏やかな笑顔。
その瞬間、切島の足がぴたりと止まった。
「…………」
爆豪も無言だった。
二人の視線が、彼女の顔から服装へとゆっくり下がる。
白い短丈のシャツ。
デニムのショートパンツ。
厚底サンダル。
そして、いつもの彼女からは想像もできない、妙に華やかな雰囲気。
「……お前」
爆豪がようやく口を開いた。
「何だ、その格好」
「え、変かな?」
「他に何があんだよ!」
彼女は自分の服を見下ろした。
「変っつーか……!」
爆豪は言葉に詰まった。
似合っていないわけではない。
むしろ、腹立たしいくらい似合っている。
普段は落ち着いた服装と隙のない雰囲気で大人びて見える彼女が、今日は年相応の女子高生らしい格好をしている。
それだけならまだいい。
問題は、普段の彼女との落差が大きすぎることだった。
「……なんでそんな格好して来てんだよ」
「どうして?」
「どうしてじゃねぇ!」
爆豪の声が大きくなる。