第2章 雄英高校入学編
最後の一撃により、天井を吹き飛ばした緑谷は個性を制御しきれず、腕がボロボロの状態になる。
周囲が息を呑む。緑谷は、そのまま息も絶え絶えに倒れ込んだ先に彼を身体をおもちが抱き留めた。
勝負は決まった。
「勝った……?」
緑谷自身も信じられないような顔をしている。
彼女は二人を交互に見た。
爆豪は、緑谷を侮っていた。
だが、緑谷はその予想を越えた。
彼女はすぐに救急箱を取り出す。
「腕、見せて」
「え?」
「いいから」
緑谷が反射的に腕を差し出す。
彼女は傷の状態を確認した
腫れ、出血、筋肉への負担。そして、動かし方。
「今の力は、今の身体で扱える範囲を超えてる。無理に出力を上げた反動で、腕に負担が集中してる」
緑谷が目を丸くする。
「そ、そんなことまで分かるの……?」
「見れば分かるわ」
彼女は淡々と答えた。
その言葉を聞きながら、ふと叔父から聞いた話を思い出す。
――緑谷出久。
無個性だった少年。
そして、オールマイトから個性を受け継いだ少年。
彼女は以前、叔父から聞いていた。
だからこそ、この状態にも納得できる部分があった。
「……オールマイトが言っていた通りね」
「え?」
「何でもない」
彼女は救急箱を開け、緑谷の腕に触れる。
「痛かったら言って」
「は、はい」
消毒をして、傷を確認し、必要な処置を手際よく進めていく。
その動きには迷いがない。
「……すごい」
「何が?」
「手当て……慣れてるんだね」
「…まぁね」
彼女はそれ以上説明しなかった。
公安で身につけた知識、任務中の応急処置。
負傷者を見れば、まず状態を確認して必要な処置をする。それは彼女にとって当たり前のことだった。
モニタールームで彼らの戦況を見守っていた、オールマイトとA組の面々は、おもちが一人、彼らのいるフロアに駆け付けて、誰よりも早く緑谷に応急手当を施している場面を見て、驚いていた。
オールマイトは、
「な、おもちくんが何故そこに…!?」
切島は、
「あいつ、ボロボロになった緑谷の事手当してるぞ!いつの間に出てったんだ??」
八百万は、
「誰よりも早く行動し、傷ついた仲間を助けにいくなんて、とても優しい方ですのね」
モニターに映った彼女を見て、皆口々に話していた。