第2章 雄英高校入学編
戦闘訓練が始まった。
「チームは二人一組!」
教師から告げられた組み合わせを確認する。
彼女のパートナーは――
「常闇くん、一緒だね」
「……貴様か」
常闇が静かに彼女を見る。
「よろしく」
「うむ」
短い挨拶
二人は訓練区域へ向かった。
今回の課題は、敵役を突破し、目標地点へ到達すること。
彼女は歩きながら、周囲を見渡した。
建物
路地
遮蔽物
高低差
出入口
頭の中で、地図が組み上がっていく。
本来なら、この程度の戦闘なら、軍略眼を全開にすれば数秒で最適解を導き出せる。
だが――
「……」
彼女は意図的に、能力の使用を抑えた。
雄英に入学したばかり。
いきなり自分の実力をすべて見せる必要はない。
公安の人間としても
潜入者としても
目立ちすぎるのは避けるべきだった
「常闇くん」
「何だ」
「右から行こう」
「理由は?」
「正面は敵に見られやすい。右側の建物の陰を使えば、接近できる」
常闇は周囲を見る。
「……確かに」
二人は右へ進む。
「次、止まって」
「……?」
彼女が手を上げる。
「三秒後、向こうから敵が来る」
常闇が目を細める。
「気配を感じたのか?」
「音」
「なるほど」
数秒後。
敵役の生徒が角から現れた。
「なっ――!」
その瞬間。
「今」
「ダークシャドウ」
常闇の個性が走る。
敵の動きを封じる。
「そのまま左」
「承知した!」
二人は迷いなく進む。
敵が反応する前に、次の遮蔽物へ。
「ここから二手に分かれる」
「貴様は?」
「私が囮になる」
「危険では?」
「必ず戻る」
「……分かった」
彼女が走る。
敵がそちらへ視線を向ける。
その瞬間。
「今」
常闇が反対側から突破する。
完璧なタイミング
無駄な動きがない
最小限の個性使用
そして――
「目標、到達」
終了の合図が響いた。