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光の裏側で、君と ※ヒロアカの爆豪寄り

第6章 保須市襲撃事件


職業訓練当日――正義の表と裏

駅前は、朝から賑やかだった。
ヒーロースーツを詰めたケースを手に、生徒たちはそれぞれの職業体験先へ向かう準備をしていた。

「じゃあ、みんな。一週間後に!」

「おう! お互い頑張ろうぜ!」
切島の声に、クラスメイトたちが次々と応じる。

緑谷は、オールマイトを育てたグラントリノのもとへ。

爆豪は、ナンバー4ヒーローのベストジーニストのもとへ。

轟は、父親であるエンデヴァーの事務所へ。
それぞれが、自分の課題と向き合うために出発していく。

その中で、飯田だけは少し違っていた。
「では、皆さん。職業体験先でも、雄英高校の生徒として恥ずかしくない行動を心がけてください!」

いつもと変わらない、真面目な声。
背筋を伸ばし、眼鏡を押し上げ、クラスメイトたちを見送る。
けれど、その胸の内には、誰にも話していない感情があった。

兄、インゲニウム。
憧れだったヒーロー。
誰よりも速く駆けつけ、誰よりも多くの人を救ってきた兄が、ヴィランに襲われた。
足の感覚を失い、以前のようには走れなくなった。
兄から告げられた言葉が、今も耳に残っている。

――お前が、インゲニウムを継いでくれ。

兄は、自分に未来を託してくれた。
それなのに。
兄を傷つけた相手が、今もどこかで何事もなかったかのように生きている。
その事実が、飯田の心を静かに蝕んでいた。

「……飯田くん」
呼びかけた彼女に、飯田は振り返る。

「どうした?」

「気をつけてね。保須市まで行くんでしょう?」

「ああ。ありがとう。君も、職業体験先で有意義な時間を過ごしてくれ」
彼は、いつも通りに笑った。

彼女も微笑み返す。
「うん」

それだけの会話だった。
けれど、彼女は飯田の表情を見ていた。
普段の彼なら、職業体験に臨む心構えや、現場での安全管理について、もう少し話していたはずだ。

それが今日は、どこか上の空だった。

視線が、時折遠くへ向いている。
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