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光の裏側で、君と ※ヒロアカの爆豪寄り

第5章 束の間の休息


「……そう」
小さく呟く。
そして、彼女の表情が、ゆっくりとほどけた。

「……ありがとう」

その笑顔は、普段の彼女からは想像できないほど柔らかかった。
口元がふわりと緩み、目元まで優しく細められる。

今まで誰にも見せたことのないような――


とろけるような笑顔。


そこには、作った笑顔も、公安としての冷静さもなかった。
ただ純粋に、自分で選んだ名前を、受け入れてもらえたことへの喜び。
胸の奥から湧き上がる、幸福そのものだった。


「……っ」
最初に固まったのは、麗日だった。


「え……」
上鳴も目を見開く。


「……待って」
切島が呆然と呟いた。


「今の……」


「やばっ!!」

「今の笑顔、何!?」

「天使なの!?」

「ちょっと待って、もう一回して!!」

「写真! 写真撮らせて!!」

「葉隠、カメラ持ってない!?」

「持ってるよ!!」

「持ってんの!?」
一瞬にして教室が大騒ぎになる。

「えっ、ちょ、待って……!」
おもちが困惑する。
普段ならどんな状況でも落ち着いて対処できる彼女が、完全に対応に困っている。

「さっきの笑顔もう一回!」

「無理です!」

「なんで!?」

「もう出ないから!」

「一回だけ!」

「だから無理よ!」
女子たちまで彼女の周りに集まり始める。

「めっちゃ可愛かった!」

「いつもの綺麗な笑い方と全然違った!」

「反則でしょ、あれ!」
そんな騒ぎを少し離れた席から見ていた爆豪は――



「……」
目を見開いたまま、動かなかった。

さっきの笑顔が、頭から離れない。
普段のおもちは、何を考えているのかわからない。
冷静で、余裕があって、誰かに何かを言われても、微笑んで受け流す。
なのに、今の笑顔だけは違った。
心の底から嬉しいのだと、見ているだけでわかる。
一瞬だけ、本当に、一瞬だけ、爆豪は、完全に目を奪われていた。


「……なんだよ、あれ」
小さく呟く。
けれど、その声は騒がしい教室の中に消えていった。


教壇では、ミッドナイトが楽しそうに微笑んでいる。
「ふふっ。どうやら、名前だけじゃなくて、あなた自身もかなり印象に残ったみたいね」

「……もう、やめてください」
頬をわずかに赤くしながら、おもちは俯く。
けれど、その口元にはまだ笑みが残っていた。
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