第5章 束の間の休息
「……私の個性は、とても強い力だと思っています」
教室が静かに彼女の言葉を聞いている。
「だからこそ、力を持つことそのものよりも、その力をどう使うかが大切だと思いました」
彼女は、自分の手を見つめる。
「強い力を持ってるからって、それを自由に振るっていいわけじゃない。自分の力で守れるものを守るために、必要なときに必要なだけ使う」
そして、ゆっくりと顔を上げた。
「王権を象徴するものという意味を持つ『レガリア』という言葉には、力や威厳だけではなく、それを背負う責任もあるように感じました」
それは、今までの彼女自身の生き方にも重なる言葉だった。
力を持つ者として。
その力に振り回されるのではなく。
その力を、自分自身の意思で制御する。
「だから……」
ほんの少しだけ、彼女は微笑んだ。
「自分の力に責任を持てるヒーローになりたいと思って、この名前にしました」
しん、と教室が静まる。
ミッドナイトはしばらく彼女を見つめていた。
「……素敵ね」
柔らかな笑みを浮かべる。
「あなたらしい、とてもいい名前だと思うわ」
「ありがとうございます」
おもちは小さく頭を下げ、自分の席へ戻ろうとした。
――そのときだった。
「レガリア、かぁ」
麗日が嬉しそうに笑う。
「すごく似合ってる!」
「うん。なんか、かっこいい!」
切島も頷く。
「めちゃくちゃ強そうだし、おもちらしいぜ!」
「響きも綺麗だよね!」
耳郎も微笑む。
「いい名前じゃん」
次々と飛んでくる言葉。
「……」
おもちは、少しだけ目を見開いた。
嫌な顔をされるかもしれない。
大げさだと思われるかもしれない。
「なんでそんな名前にしたの?」
そう聞かれるかもしれない。
どこかで、そんな不安があった。
けれど、返ってきたのは、ただの肯定だった。
似合っている。
素敵だ。
かっこいい。
その言葉が、一つずつ胸の奥に落ちていく。