第5章 束の間の休息
「それじゃあ、ここからは私に任せてもらうわよ!」
相澤と入れ替わるように教室へ入ってきたのは、プロヒーローのミッドナイトだった。
艶やかな笑みを浮かべた彼女は、教壇に立つと、生徒たちをぐるりと見渡した。
「今日の授業は、ヒーロー名の決定よ!」
「待ってましたー!」
上鳴が声を上げ、教室が一気に盛り上がる。
「ただし、忘れないでね。ヒーロー名は、これからあなたたちが社会に名乗る名前。適当に決めていいものではないわ」
ミッドナイトは、意味ありげに微笑んだ。
「過去には、仮の名前をつけたことで、後々になって大変な思いをしたヒーローもいるの。だからこそ、今の自分だけでなく、将来どんなヒーローになりたいのかも考えて決めること」
そう言って、彼女は教室の前方を指し示した。
「では、早速発表してもらいましょう!」
最初に手を挙げたのは、青山だった。
「僕の名前は……『輝きヒーロー《I cannot stop twinkling》キラキラが止まらないよ』!」
「うーん、ここは…こうして、」
ミッドナイトの冷静な添削が始まり、訂正された名前に納得した青山が席に戻っていく。
続いて、芦戸が勢いよく立ち上がる。
「私は『エイリアンクイーン』!」
「2!!?あれを目指してるの!?やめなさい!!!」
と真剣に止められる芦戸だった。
とぼとぼと肩を落として、席に戻っていく。
三番手は蛙吹梅雨だった。
「私は小さいころから考えていたの。梅雨入りヒーロー『フロッピー』。蛙っぽいし、覚えやすいでしょう?」
「そうね。親しみやすくていい名前だと思うわ」
「ケロ」
梅雨はいつもの調子で頷き、席に戻った。
そこからも、生徒たちは次々と自分の考えたヒーロー名を発表していく。
耳郎の『イヤホン=ジャック』。
障子の『テンタコル』
尾白の『テイルマン』
瀬呂の『セロファン』
葉隠の『インビジブルガール』
それぞれの個性や性格、そして目指すヒーロー像が表れた名前に、教室は笑いと歓声に包まれていた。