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光の裏側で、君と ※ヒロアカの爆豪寄り

第5章 束の間の休息


金色の瞳が、真っ直ぐに彼女を捉える。



その瞳の奥に、何かが見えた気がした。
遠い記憶の断片か。 それとも、彼女自身も知らない何かの正体か。


龍が何かを告げようと、口を開いた。
――その瞬間。



「っ……!」
彼女は勢いよく目を覚ました。



見慣れた天井。 カーテンの隙間から差し込む、薄青い朝の光。

夢の中にあった水の感触も、赤い鳥居の威容も、黄金の龍の眼差しも、目を覚ました途端に遠ざかっていく。



「……迎えに来た、か」
呟いた声は、寝室の静寂に溶けていった。
胸の奥に、奇妙な感覚が残っている。


懐かしさ。 戸惑い。 そして、言葉では説明できないほどの安心感。


まるで、ずっと昔から知っている誰かに、ようやく再会できたような。


彼女はそっと自分の胸元に手を当てた。
心臓が、いつもより少しだけ速く鼓動していた。

枕元の時計に目を向ける。
午前五時、起床にはまだ早い時間だった。

しかし、もう一度眠る気にはなれなかった。

彼女はベッドから起き上がり、窓辺へと歩み寄った。

カーテンを開けると、街はまだ眠りの中にある。遠くの空が、ほんのわずかに白み始めていた。



夢にしては、あまりにも鮮明だった。
あの龍の瞳も。 深々と頭を垂れた姿も。 そして、最後に告げられた言葉も。





「……あなたは、いったい誰なの?」

誰に向けるでもなく、彼女は呟いた。
もちろん、返事はない。

ただ、窓ガラスに映る自分の顔を見つめながら、彼女はしばらく考え込んでいた。



やがて、いつものように表情を整える。

今日は登校日だ。
夢の意味を考えるのは、後回しでいい。
そう自分に言い聞かせ、彼女は身支度を始めた。
けれど、洗面台の鏡に映る自分の瞳を見たとき、ほんの一瞬だけ、夢の中の龍の眼差しが脳裏をよぎった。




まるで、あの龍は、彼女が目を覚ますことさえ、最初から知っていたかのように。
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