第4章 雄英体育祭編
「若い子たちに混じって、ちょっと張り切っちゃったの」
「ははっ。そりゃ大変だ」
ホークスは笑った。
「で、例の注射器は?」
「…………」
「使ったんでしょ?」
彼女はゆっくりと振り返った。
「……どうしてそう思うの?」
「んー、勘?」
ホークスは悪びれもせずに笑う。
「君が医療班を拒んだことも、そのあと姿を消したことも知ってる。あの状態で何も対処しない君じゃないでしょ」
「……さすがね」
「褒めても何も出ないよ?」
彼女は小さく肩をすくめた。
「心配しなくても、もう落ち着いているわ」
「ふーん」
ホークスが立ち上がる。
その足音が近づいてきても、彼女は警戒を見せなかった。
長い付き合いだ。
少なくとも、今すぐ危害を加えられるような相手ではない。
「はい、お茶――」
振り向いた瞬間だった。
ホークスが彼女の手首を取った。
「……え?」
ぐい、と身体が引かれる。
次の瞬間、彼女の背中がソファに沈んだ。
「ちょっと、ホークス?」
「はいはい、ちょっと失礼」
軽い口調とは裏腹に、その手は逃がすつもりがない。
「な、何を……!」
ホークスは彼女のワンピースの裾を持ち上げた。
「……っ!」
露わになった太ももの外側。
そこには、まだ消えきっていない注射痕が残っていた。
ホークスの表情から、笑みが消えた。
「……やっぱり」
指先が、その痕にそっと触れる。
彼女の身体がぴくりと揺れた。
「ちょっと、触らないで」
「これ、いつ打ったの?」
「……体育祭の日」
「試合のあと?」
「そうよ」