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光の裏側で、君と ※ヒロアカの爆豪寄り

第4章 雄英体育祭編


彼女は人目につかない通路までたどり着くと、壁に背中を預け、その場に座り込んだ。

「……っ、はぁ……」

呼吸が乱れる。
身体の奥で、何かが暴れようとしていた。
押さえ込もうとするほど、個性が内側から身体を食い破るように疼く。

震える手で、腰に巻いていたウエストポーチを探る。
中から取り出したのは、一本の注射器だった。
透明な薬液が、蛍光灯の光を反射する。

彼女は慣れた手つきで注射器を握ると、衣服の上から太ももの外側へと押し当てた。

「……っ」

鈍い痛みに顔をしかめる。
やがて、身体の奥で荒れ狂っていた感覚が、ほんの少しだけ和らいだ。
完全に収まったわけではない。
あくまで、一時的な抑制。
それでも、今はそれで十分だった。

「……はぁ……」

彼女は壁に頭を預け、目を閉じる。
少し休めば、歩ける。
そうしたら、誰にも見つからない場所へ移動しよう。
そう考えていた、そのときだった。

「……おい」

聞き覚えのある声が、頭上から降ってきた。
彼女の肩が、ぴくりと揺れる。
ゆっくりと目を開けると、目の前に立っていたのは――爆豪勝己だった。

「……どうして、ここに」

「そりゃこっちの台詞だ。勝手にいなくなりやがって」
爆豪は苛立ったように眉を寄せた。

試合が終わっても、どうにも胸騒ぎが消えなかった。
医療班を振り払い、ふらつきながら歩いていく彼女の姿。
あの異様な拒絶。
まるで、誰にも知られてはいけない何かを抱えているような――。
気づけば、後を追っていた。
そして、今。
爆豪の視線が、彼女の手元に落ちる。
握られた注射器。
一瞬、言葉を失った。

「……何してんだ、お前」

彼女は答えない。

「おい。聞いてんのか」

爆豪は彼女の顔を覗き込んだ。
額から流れた血は乾きかけている。

顔色はひどく悪く、唇からは血の気が失せていた。
それなのに、本人は何事もなかったかのように目を逸らす。

「……何でもない」

「は?」

「少し座っていれば良くなるから。あなたは戻って」
突き放すような声だった。
爆豪の眉間に、深い皺が刻まれる。

「何でもねぇ奴が、んなモン自分に打つかよ」

「……大したことじゃないわ」

「だったら説明しろ」

「必要ないでしょう。あなたには関係ないことよ」
その言葉に、爆豪の表情が険しくなる。
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