第4章 雄英体育祭編
「私の個性の本質は、支配です」
「支配……?」
「物体だけではありません。生物の身体を構成するものにも干渉できます。血液、臓器、筋組織、骨……細胞の単位まで」
沈黙が落ちた。
オールマイトの表情が凍りつく。
「……そこまで、できるのか」
「治癒も回復も、その応用です。傷を塞ぐというより、身体そのものに干渉して、回復できる状態へ導くんです」
「待ちな。あんた、自分が何を言っているのか分かっているのかい?」
リカバリーガールの声が低くなる。
「それじゃあ、使い方次第で医療の常識すら覆しかねない。戦闘に使えば、相手の身体を直接支配することだって……」
「可能性はあります」
彼女はあっさりと答えた。
その平然とした態度が、かえって二人を黙らせた。
「ただ、私にも限界は分かりません。どこまで干渉できるのか、何ができないのか……まだ把握しきれていないので」
「自分の個性の限界すら、知らないというのか」
オールマイトの声がかすれた。
彼は叔父として、彼女のことを知っているつもりだった。
だが、今、目の前にいる少女の力について、自分が何も知らなかったことを思い知らされていた。
「……どうして、私にも話してくれなかったんだ」
「聞かれませんでしたから」
「君は……!」
言いかけて、オールマイトは口を閉じた。
責めることはできなかった。彼女自身も、どこまでできるのか分かっていないのだから。
リカバリーガールは、険しい顔で彼女を見つめる。