第4章 雄英体育祭編
(相手に考える時間を与えない。判断を急がせて、選択肢を減らす……)
彼女は小さく息を吐いた。
(戦闘経験だけじゃない。勝つための組み立て方を、本能的に理解しているのね)
隣の席では、緑谷が心配そうに試合を見つめていた。
「麗日さん……!」
その声を聞きながらも、彼女はグラウンドから目を離さない。
麗日は劣勢だった。
それでも、諦めてはいない。
何度攻撃を受けそうになっても、爆豪の動きを観察し、機会を探っている。
(……いい目をしてる)
彼女は麗日の姿を見て、そっと微笑んだ。
(勝てるかどうかだけじゃない。どう勝つかを考えている)
その瞬間、麗日が動いた。
爆豪の攻撃を受けながらも、真正面から接近しようとする。
爆豪の表情がわずかに変わった。
「……チッ!」
爆発が炸裂する。
彼女は思わず身を乗り出した。
(今の判断、悪くない。でも――)
爆豪は麗日の狙いを察し、容赦なく攻撃を重ねていく。
その動きに迷いはなかった。
相手が何を仕掛けようとしているのか。
どこで勝負を決めるべきなのか。
爆豪は戦いながら、瞬時に判断している。
(……やっぱり、簡単には崩せない)
彼女は腕を組んだ。
(真正面からぶつかるなら、相応の覚悟が必要。小細工だけでどうにかなる相手じゃない)