第4章 雄英体育祭編
相澤がゆっくり椅子に座る。
「……頭痛くなってきた」
「私もだよ」
「でも」
オールマイトは画面を見る。
彼女が笑っている。
心から楽しそうに。
「……それでも」
嬉しそうに目を細める。
「私は、あの顔が見られてよかったと思う」
相澤はしばらく黙っていた。
「……ああ」
そして小さく息を吐く。
「まあ、今日くらいはいいか」
「相澤君……!」
「ただし」
相澤が真顔になる。
「体育祭が終わったら、生活指導だ」
「…………」
オールマイトが固まる。
「……やっぱり?」
「当然だ」
「煙草も?」
「煙草も」
「チアも?」
「チアは八百万たちの問題だ」
「ご褒美発言は?」
「……それも説教だな」
「厳しいなぁ……」
オールマイトは苦笑する。
それでも、もう一度モニターを見る。
そこには、かつて失ったと思っていた少女の面影があった。
自由に笑って、仲間とふざけて、何も恐れず、その瞬間を楽しんでいる。
オールマイトは胸の奥で、静かに喜んだ。
――ようやく、この子は、
少しずつ、自分の人生を楽しめるようになってきた。
「……よかった」
そう呟いた直後。
モニターから彼女の声が響く。
『みんな、頑張ってね♡』
「…………」
オールマイトは再び頭を抱えた。
「……いや、やっぱり刺激が強すぎるよ!!」
「だから言っただろ」
相澤も深々とため息をついた。