第4章 雄英体育祭編
「だから、ついてこないでって言ってるでしょう」
「いやいや、同じ方向だから」
校舎からスタジアムへ戻る道。
彼女の隣を、当然のような顔でホークスが歩いている。
「せっかく久しぶりに会えたんだから、もうちょっと話そうよ」
「話すことない」
「俺はあるけど」
「私はない」
「冷たいなぁ」
「何度言われても変わらないわよ」
「じゃあ、任務が終わったらさ――」
「その話はここでしないで」
「はいはい」
ホークスは笑いながらも、彼女の隣から離れない。
彼女はため息をついた。
――本当にしつこい。
そのとき、
「……おい」
低い声が響いた。
二人が同時に振り返る。
そこに立っていたのは――相澤消太。
腕を組み、じっとホークスを見ている。
「……これはこれはイレイザーヘッドじゃないすか」
「随分と楽しそうだな、ホークス」
「いやぁ、たまたま会ったんですよ」
「そうか」
相澤の目が細くなる。
「なら、もう帰れ」
「え?」
「生徒の引率は俺たち教師の仕事だ」
「いや、俺も一応プロヒーローとして――」
「ここから先は俺がやる」
淡々とした声。
笑っていたホークスの表情が、ほんの少しだけ変わった。
「……なるほど」
相澤は一歩前に出る。
「それとも、何か用があるのか?」
「いや」
ホークスは彼女を見る。
「今日は十分かな」
「……十分?」
「顔見られたし」
「……」
彼女が露骨に嫌そうな顔をする。
「じゃあ、またね」
「また来るな」
相澤が即答した。
「怖いなぁ、先生」
「お前が生徒に絡むからだ」
「絡んでるなんて人聞き悪いなァ」
「俺にはそう見える」
「……まあ、否定はしないけど」
「否定しろ」
ホークスは楽しそうに笑うと、翼を広げた。
「じゃあ、またね」
「二度と来るな」
「手厳しいなぁ。またねおもち」
「……」
相澤の眉が動く。
ホークスはそのまま空へ飛び去っていった。
しばらく、その姿を見送る。