第4章 雄英体育祭編
時間切れ。
彼女の足が地面に着く。
「……っ」
膝が、わずかに揺れた。
麗日がすぐに気づく。
「大丈夫!?」
「……うん」
彼女は笑う。
「ちょっと……眠いだけ」
「眠いだけって……!」
緑谷が心配そうに顔を覗き込む。
「顔、すごく疲れてるよ!?」
「大丈夫」
彼女はもう一度笑った。
そして、手の中にある鉢巻きを差し出す。
「ほら」
「……!」
緑谷が目を見開く。
「轟くんの鉢巻き!?」
「君が轟くんに向かっていった隙に取ったの」
「いつの間に……!」
彼女は少しだけ笑った。
「秘密」
「またそれ!?」
緑谷が思わず声を上げる。
麗日も笑った。
「でも、すごかったよ!」
「……ありがとう」
そう答えながら、彼女は、もう一度だけ瞬きをした
――眠い。
猛烈に。
今すぐ目を閉じてしまいたいほどに。
(……このままだと、体育祭が終わる前に寝ちゃいそう)
それでも、彼女は立っていた。
まだ、次の競技がある。
だから、眠気に負けるわけにはいかなかった。