第4章 雄英体育祭編
「相手が地上から来るなら、私たちは上へ逃げる」
「なるほど!」
発目が目を輝かせる。
「三次元騎馬戦!」
「そういうこと」
彼女は笑った。
「ただし――」
一瞬だけ、表情が変わる。
「無理に飛び続けない。相手の個性次第では空中も危険になる」
「了解」
麗日が頷く。
「相手の個性を見て、逃げる方向を変えるんだね」
「そう」
彼女は周囲を見渡した。
「この競技で一番怖いのは、強い相手じゃない」
「え?」
緑谷が目を瞬かせる。
「私たちが、相手のことを知らないまま囲まれること」
彼女の視線が、周囲の生徒たちを捉える。
炎、氷、強化、捕縛、速度、変形、それぞれの個性。
そして、それぞれの性格。
「だから、最初の数分は特に観察する」
彼女は静かに笑った。
「誰が攻めてくるか。誰と誰が組んでいるか。どんな個性を使うか」
「……なるほど」
緑谷が感心したように呟く。
「そうすれば、後半はもっと動きやすくなる」
「うん」
彼女は頷いた。
「私が見る」
その言葉に、緑谷は少しだけ安心したように笑った。
「じゃあ……よろしくね」
「こちらこそ」
「そろそろ時間だァァァ!!」
プレゼント・マイクの声がスタジアム中に響き渡った。
「騎馬戦、開始まであとわずかァァァ!!」
生徒たちが一斉に身構える。
彼女の目が鋭くなった。
「……来るよ」
「え?」
緑谷が周囲を見る。
次の瞬間――。
「うおおおおお!!」
「緑谷を狙え!!」
「1000万ポイントだ!!」
一斉に、生徒たちが動き出した。
「来たァァァ!!」
緑谷が叫ぶ。
「前!」
彼女が短く指示を出す。
迫ってきた騎馬が、正面から鉢巻へ手を伸ばす。
だが、彼女が一歩前へ出た。
「ごめんね」
手を伸ばす。
相手の騎馬が、突然バランスを崩した。
「なっ!?」
その一瞬。
麗日が手を伸ばす。
「無重力!」
ふわっ――。
騎馬の身体が軽く浮き上がる。
「うわあああ!?」
「今!」
「了解!」
緑谷の背中のジェットが噴射する。
シュッ――!
騎馬全体が、一気に後方へ移動した。
「飛んだァァァ!?」
観客席が沸く。