第4章 雄英体育祭編
そのやり取りを見ながら、彼女は内心で思う。
(……やっぱり、真っ直ぐだなぁ)
打算も、駆け引きも、裏の意図もない。
少なくとも、今この瞬間の二人には。
それが少し眩しく感じられた。
「あと一人……」
緑谷が辺りを見渡す。
「飯田君!」
飯田がすぐに振り返る。
「よかったら、僕たちの騎馬に――」
「すまない!」
飯田は、申し訳なさそうに頭を下げた。
「俺は別のチームに入ることになっている」
「え?」
「轟くんのチームだ」
少し離れた場所を見ると、轟が静かに立っている。
「……そうなんだ」
緑谷の肩が、少しだけ落ちる。
「残念だな……」
「緑谷くん!」
飯田が真っ直ぐに言う。
「君に頼ってばかりではいけないと思ったんだ」
「飯田君……」
「俺自身も、この体育祭で成長しなければならない!」
力強く拳を握る飯田。
「だから、今回は轟くんたちと組む!」
「そっか……」
緑谷は少し寂しそうにしながらも、笑った。
「うん。頑張ろう、飯田君!」
「ああ!」
それぞれが自分のチームを探し始める。
その時だった。
「……あの」
緑谷たちのもとへ、もう一人の女子生徒が近づいてきた。
彼女は、その姿を見て目を細める。
(……この子は)
「私も仲間に入れてもらえませんか?」
サポート科、発目明だった。身体にサポートアイテムを装着して、完全装備だ。
少女は、はっきりとした意思を持って自分たちのチームと組むつもりでいる。
騎馬戦開始まで、残された時間は少ない。
それぞれの思惑が交錯する中――。
彼女たちのチームが、少しずつ形を成し始めていた。