第4章 雄英体育祭編
オールマイトから以前言われた言葉も、彼女の中に残っている。
『緑谷少年のことを、少し気にかけてやってほしい』
もちろん、理由はそれだけではない。
(もう少し、彼のことを見てみたい)
そう思っていた。
この少年は、一体どこまで伸びるのか。
自分が知らないところで、何を考え、どう成長していくのか。
(1000万ポイントを狙ってくる生徒たちの個性や人物相関を見るなら……)
彼女は、静かに結論を出した。
(緑谷くんと組むのは、悪くない)
彼女は緑谷へ歩み寄る。
「緑谷君」
「……え?」
涙目のまま振り返った緑谷に、彼女は柔らかく微笑んだ。
「もし良かったら、私と組まない?」
「……え?」
緑谷が、固まった。
「僕と……?」
「うん」
彼女は頷く。
もちろん、本当の理由をそのまま話すわけにはいかない。
「クラスの中でも、仲良くしてくれてるから」
そう言って、微笑む。
それは嘘ではなかった。
だからこそ、嘘も方便だった。
「…………」
緑谷の顔が、みるみる赤くなる。
「そ、そんなふうに思ってくれてたなんて…/////」
「うん」
「そ、そっか……」
俯いたまま、耳まで真っ赤になる。
彼女は少しだけ首を傾げた。
(……そんなに照れることかな?)
そこへ、
「デクくん!」
聞き慣れた声が飛んできた。
「麗日さん?」
麗日お茶子が駆け寄ってくる。
「組もう!!」
「麗日さん?!」
「仲良い人と組むのが一番いいと思って!」
麗日は、迷いのない笑顔で言った。
「……!」
緑谷の目が大きく見開かれる。
「麗日さん……」
「二人とも……!」
目から、ぽろぽろと涙が零れた。
「ありがとう!!」
「えっ!?」
「僕、めっちゃ狙われると思うけど……!」
涙を拭いながら、それでも嬉しそうに笑う。
「よろしくね!!」
「ええ!」
「もちろん!」
彼女も笑顔で頷いた。