第4章 雄英体育祭編
そして、爆豪もまた同じだった。
大型ロボット、岩壁、地雷原、どれも普通なら、障害物として立ちはだかるものだ。
だが、彼女は違った。
「障害物」として捉えるのではなく――。
「使えるもの」として見ていた。
(……面白ぇ)
爆豪の口元が、わずかに吊り上がる。
(あの個性、まだ全部見せてねぇ)
USJでも、そして、今の体育祭でも、見えたのは、ほんの一部。
それでも分かる。強い。しかも、ただ強ぇだけじゃねぇ。
どう使えば一番効率がいいかを、一瞬で考えてやがる。
「……クソが」
思わず、笑みが深くなる。
その横では、緑谷もまた彼女を見つめていた。
(あの個性……すごい)
自分がロボットの破片を利用したのと同じように、彼女もまた、与えられた環境そのものを戦い方に組み込んでいた。
ただし、緑谷が必死に考えて一つの答えを導き出したのに対し、彼女はまるで最初からそうすることが当然だったかのように、迷いなく実行していた。
その違いが、緑谷には強く印象に残っていた。
そして、それは二人だけではない。
轟も、スタジアムで彼女の姿を見ていた生徒たちも、プロヒーローたちも、それぞれの胸に、同じ疑問を残していた。
――あの個性は、一体どこまでできるのか。
「……」
彼女はそんな周囲の視線に気づきながらも、いつものように微笑んだ。
「うーん。それは企業秘密だから、教えてあげられないな」
「は?」
爆豪が眉を寄せる。
「もう少し仲良くなったら、教えてあげてもいいよ」
「ふざけてんのか?」
「ふふっ」
「仲良しごっこしに来たわけじゃねぇんだよ」
そのやり取りを少し離れた場所から見ていた轟が、ぽつりと呟く。
「……あの二人、仲いいな」
「どこが!?」
緑谷が即座に突っ込んだ。
「……そうか?」
「そうだよ!」
体育祭開始早々、一つの競技を終えただけだというのに。
彼女の個性は、1-Aの生徒たちの中に強烈な印象を残していた。
そして、彼女自身がまだ知らないところで。
その「底の見えなさ」こそが、爆豪や轟をはじめとする実力者たちの興味を、さらに強く引き寄せ始めていた。