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雨の神様 【呪術廻戦(春夏秋冬代行者)】

第11章 霽雨


私は自分の冷え切った左手を胸元に当て、じっとりと残る蒸し暑い不快な熱を感じながら言葉を紡いだ。

『梅雨の代行者である私は、ある日突然、自分の意志とは関係なく、 雨をもたらす儀式である、“顕現” をしなければならない、という強烈な衝動に駆られるのです。
頭の奥から湧き上がるそれは、顕現への絶対的な合図です。

そして、他の代行者様とは違い、梅雨の代行者には、神が特別に、更なる神通力(じんつうりき)をお与えになります。ゆえに、顕現に不可欠なその力は、内側から溢れんばかりに膨れ上がっていくのです。

だからこそ、毎年の梅雨は少しずつ時期が、変化する。
それをもし……こちらの都合で無理に引き延ばしたり、大幅に遅らせたりしたらどうなるか——。

行き場を失ったあまりにも巨大な神通力は、内側から私の身体を蝕み始め……体調を、酷く損ねてしまうのです』

「……っ、じゃあ、苦しそうな呼吸も、指先が凍るみたいに冷たかったのも……!」

憂太くんが、違和感を思い出して、激しい後悔を瞳に宿しながら私の手をさらに強く握りしめた。

『はい……。今年は人手不足で、遠隔での顕現である、“風伝い” にされることになって、時期を大幅に遅らせる予定だと、先ほど皐月さんから言われました。私の身体は、もう本来の梅雨の時期をとっくに過ぎ、神通力が満ちてしまっていたのに、それを無理に押さえ込もうとしたせいで……身体が耐えきれなくなって、倒れてしまったんです』

そこまで一気に話し終えると、私はまた、はぁ、はぁと荒い呼吸を繰り返してベッドに横たわった。
静まり返る医務室。
私の口から語られた、あまりにも残酷で、あまりにも重すぎる真実。
それを聞いたみんなが、一体どんな言葉を私に返してくれるのか、私は怖くて、ぎゅっと目を閉じて次の言葉を待った——。
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