第11章 霽雨
真希side
あぁ、まただ——。こいつはまた、この目をしている。
怯えて、今にも泣き出しそうなほど弱々しいくせに、奥の方には決して折れない芯がある——そんな、強い覚悟を秘めた真っ直ぐな目だ。
こいつと初めて会った時のことを、私は思い出していた。
最初に教室で見た時は、自分が今どこにいるのか、高専がどういう場所かもろくに理解していないような、ただの世間知らずなお嬢様に見えた。
だから、私はあいつに「お前、何しにここに来たんだ?」って、わざと突き放すような冷たい言葉をぶつけたんだ。
だけど、そのあと私が教室に戻ったあの時——あいつは怯えながらも、自分から私に話しかけてきた。
また何か厳しいことでも言ってやろうと思って、あいつの目を真っ直ぐに見返したあの瞬間、私は言葉を失った。
そこにあったのは、周りの大人に流されているだけの覇気のない目じゃなかった。しっかりと自分の意志で、自分の言葉を私に告げようとする、そんな——見た目とは不釣り合いな瞳。
——あいつを気にかけるようになったのは、間違いなく、あの時からだ。
ただ守られているだけの奴じゃない。
あいつはあいつなりに、必死に自分の足で立とうとしてるんだって分かったから……だから私は、あいつのことが放っておけなくなった——。