第7章 夜雨
そのまま自分の部屋に戻り、ベッドに寝転がって天井を見つめる。
目を閉じると浮かんでくるのは、さっき廊下で見かけた、今にも泣き出してしまいそうだった彼女の横顔だ。
……いつもなら他人の領域にここまで首を突っ込んだりしない。
——正直、最初はただの好奇心だった。神様を預かるなんて、面白そうだから引き受けただけ、のはずだった。
……だけど、今は違う。
いつの間にか僕は、どうにかして彼女の心を暖めてあげたくて仕方がなくなっている。
あんな風に1人で泣きそうな顔をして閉じこもっちゃうなら、僕が外の楽しい世界へ連れ出して、そのぶん僕の手で特別に愛してあげればいい。
——彼女は、この国にたった1人しかいない “ 梅雨の代行者 ”
本来なら、もっともっと大切にされて、神様のように敬われるべき存在のはずなのに。今日1日彼女を見ていて、周りから大切にされているな、という実感がこれっぽっちも湧かなかった。
あの皐月サンとかいう女の態度だって、お世辞にも敬意があるとは言えなかった。皐月サンは例外だとして、もし本当に、大切にされているなら、普通はあんな冷酷な奴、真っ先に護衛から外されるはずなのに。