第5章 小糠雨
——私の訴えに、最初に動いたのはパンダさんだった。
大きな肉球のある手が、私のお弁当の横にぽんと置かれる。
「なるほどな。だから悟の奴、あんなに紹介が雑だったわけだ。お前の事情を守るためだったんだな」
「そういうことか。……チッ、あのバカ目隠し、たまには気の利いたことするじゃねぇか」
真希さんがため息をつきながらも、どこか呆れたように笑う。
嘘をついていた私を責める人は、誰一人としていなかった。
「しゃけ、すじこ」
棘さんが私の頭をもう一度、今度はポンポンと優しく撫でてくれる。
『皆さん……。私はまだ、全てをお話ししていないですし、嘘もついていたのに…怒らないんですか……?』
不安げに尋ねる私に、憂太さんが本当に優しそうな笑顔を向けてくれた。
「怒るわけないよ。話したくない事情なんて、誰にだって一つや二つはあるよ。
それより、五月雨さんが僕たちを信頼して、本当のことを話してくれたのが、すごく嬉しい。
梅雨の期間、だよね? 任せて。僕たちみんなで、五月雨さんのこと、絶対に守ってみせるから」
「そうだぞ。話してくれただけで十分だ。遠慮なんかするな」
憂太さんとパンダさんがそう言ってくれた。
——あぁ、やっぱりこの人たちは温かい。
目の奥が熱くなるのと同時に、優しく笑う憂太さんが、なぜだかとても愛おしく、懐かしく思えて仕方がなかった。