第5章 小糠雨
先生の優しい頷きが、私の背中を強く、優しく押してくれた。
私はお箸を置き、ギュッと膝の上で拳を握りしめる。そして、大きく深く息を吸い込んでから、目の前にいるみんなを真っ直ぐに見つめた。
『真希さん。憂太さん、パンダさん、棘さん。突然すみません。……少しだけ、私の話を聞いていただけますか……?』
私の突然の真剣なトーンに、さっきまで笑顔で行き交っていた教室の空気が、ピリッと静まり返る。
『さっき私は、自分のことを何も力がない一般人だと言いました。……でも、それは嘘です。皆さんを騙すような真似をしてしまって、本当にごめんなさい』
深々と頭を下げる私に、誰も言葉を挟まなかった。
驚いたように身を乗り出す憂太さんの気配を感じながら、私は顔を上げ、静かに言葉を続ける。
『……私がここに来たのは、とある理由から、呪霊に襲われてしまうからなんです。特に——これからの季節、梅雨の期間が一番ひどくなります。
だから、その梅雨の期間と、その前後だけでも、こちらにお邪魔させていただきたくて……』
一気にそこまで口にして、私はきゅっと膝の上の着物を握りしめた。
『本当に図々しいお願いなのは、自分でもよく分かっています。だけど……どうか、私を守っていただけないでしょうか……?
五条先生はとてもお忙しい方なので、常に私の側にいていただくわけにはいかないのです』
私は俯きそうになりながらも、しっかりとそれぞれの目を見て話した。