第4章 天気雨
いつも通りテンションが高い五条先生。
その後から、少し小柄で落ち着いた雰囲気の女の子が入ってきた。その子は、落ち着いた柄の少しモダンにアレンジされた、下がスカートになっている和服を着ていた。
僕がじっと見ていると、目が合った。
少し手を振ると彼女は安心したような顔をしていた。すごく緊張していたんだろう。
「はーい、みんな注目ー! 訳あって、今日から少しの間、高専に仲間入りする、五月雨 雫ちゃんでーす!」
五条先生がそう言うと、彼女は一歩踏み出して、先生の隣に並ぶと、自己紹介をした。
『ご紹介に預かりました。五月雨 雫と申します。少しの間ですが、お世話になります。よろしくお願いいたします』
その声を聞いた瞬間、僕はハッとした。
彼女の声は、風鈴がかすかに揺れるような、触れたら消えてしまいそうな——そんな、とても優しげで綺麗な声だった。
洗練された所作や装い、丁寧な言葉遣い。どこか、由緒正しい家柄のお嬢様なのかな、なんて思った。
「みんな仲良くしてあげてね!
そんじゃ、みんなは僕が簡単にささっと紹介するねー!」
「左から、禪院真希!狗巻棘!乙骨憂太!それから、後ろに座ってるのがパンダ!」
本当にささっとだった。僕の時はもう少し説明があった。
いくら五条先生といえども、適当すぎない?
「 雫、みんなについては、名前だけで大丈夫だよね?」
『はい、大丈夫です』
彼女はそう言っているが僕は心配だった。
——本当に大丈夫なのかな……?
僕たちの紹介も雑だったけれど、彼女自身のことも、五条先生は名前しか紹介しなかった。あの先生が、彼女についてこれ以上何も明かさなかったことが、僕は不思議で仕方がなかった。
「んじゃ、 雫の席は、パンダの隣のあそこね!」
『わかりました』
先生に指定された席に向かうため、彼女が僕の横を通り過ぎた、その瞬間——。