第12章 液雨
「あいつは昔からそうなんだよ。
気に入ったもの、大切なものは、自分の手元に置いておかないと気が済まない、独占欲の塊みたいな男だからね。
雫も大変だろ、あんな我が儘な男に捕まってさ」
『いえ……。すごく、温かくて、嬉しいです』
私が頬をほんのり染めながら真っ直ぐに答えると、硝子さんは一瞬驚いたように目を見開いたあと、とても優しい笑みを浮かべて、私の頭を撫でてくれた。
「ふふ、あんたって子は、本当に良い子だね。……疲れただろ。ゆっくり休みな」
『はい。硝子さん、おやすみなさい……』
みんながくれたお菓子のぬくもり、五条先生の甘いお土産のゼリーの冷たさ。そして硝子さんの優しい手のひらの温度を胸に抱きしめながら、私はゆっくりと目を閉じた。
身体に満ちる『神通力』はまだ少し苦しいけれど、昨日までの孤独な恐怖は、もうどこにもなかった。
私は深い、心地よいひだまりのような眠りの中へと落ちていき、そして——穏やかな気持ちのまま、次の日の朝を迎えた。