第2章 私にはない絆
何かおかしかっただろうか。なんのリアクションもない、2人を前に、私の心臓はさっきから嫌な音を立てて冷たくなっている。早速何かやらかしてしまったかと、不安に思いながら、私はおずおずと声をかけた。
『あの……。どうかしましたか?』
すると、私の声でハッと我に返ったのか、サングラスをした男の人がふっと表情を和らげてくれた。張り詰めていた空気を優しく解きほぐすような声音で、彼は丁寧に挨拶を返してくれる。
「初めまして。私は枯柳 杖道(かれやなぎ じょうどう)だ。好きなように呼んでくれて構わないよ。」
そういうと、杖道さんは、隣に座っている綺麗な男の子に挨拶をするよう促した。
「さぁ、仁(じん)。お前もだ。」
そう言われ、彼は少しそっぽを向きながらボソッと挨拶をしてくれた。
「探偵の司波 仁(しば じん)だ。」
「おい、仁。それはないだろう。」
「そーだせ!仁。」
杖道さんがたしなめてくれたが、それよりも私は、驚きの方が勝ってしまった。序列上位の探偵だからと身構えていたが、情報を引き出すのは案外難しくないのかもしれない。現に今の挨拶だけで、3人の個性や、関係性が現れている。
身構えていたのが少し馬鹿らしくなって、私は小さく吹き出しそうになった。
『ふふ、杖道さん、仁さん、よろしくお願いしますね!皆さん本当に仲が良くて、なんだか少し羨ましいです』
私がそういうと、みんなそれぞれ違う反応をした。
「えー??そーみえる?」
瑠衣さんはそう言っているが、私には、これだけ息がぴったりなのに、自覚はないのかな?と不思議で仕方がなかった。それと同時に、お互いを自然に信頼し合えている彼らの姿が、どうしようもなく羨ましかった。
でも、これなら今回の任務もなんとかなりそうだな。
そう心の中で小さく安堵の息を漏らしてから、私は笑みを浮かべ直し、本題を切り出すことにした。
『みなさんご存知か分かりませんが、今回の捜査は、名目上は合同と言っていますが、実際には私は捜査に加わることはせずに、皆さんの捜査を見学させていただきたいのです。』