第2章 私にはない絆
それと同時に、胸の奥から小さな、本当に小さな感情が湧き上がってくる。
……少し、羨ましいな
私にもこの二人のように、お互いを信じ合って背中を預けられるような、そんな強い絆と、犯人を制圧できるパワーがあれば——なんて。
失ってしまった過去の記憶が、一瞬だけ脳裏をよぎる。
……まあ、考えても仕方ないか。失ったものは戻らない。
力だっていくら鍛えても、人には限界があるしね
すぐに首を振って、心に湧いた感傷を振り払う。私は小さく息を整えると、二人のもとへと歩み寄った。
『仁さん、瑠衣さん、お疲れ様です。さっき警察を呼んだので、じきにこちらに来ますよ』
「あ、名瀬! 追いついてたんだな」
「お疲れ」
私の声に、二人がそれぞれ表情を和らげる。
しばらくして、遠くからサイレンの音を響かせて駆けつけた警察官たちに、犯人の男は引き渡された。
こうして、街を脅かしていた連続通り魔事件は、呆気なく幕を閉じた。私が思っていた以上に、この事件は今の彼らにとって『実力を証明するための、ぴったりな舞台』だったらしい。
「これで一件落着だな!」
瑠衣さんは頭の後ろで両手を組み、ニカッと眩しい笑顔を浮かべてそう言った。
「あぁ。……おっさんと合流するぞ」
そっけなくそう告げると、仁さんが先頭を切って歩き出す。
「ああ!」
瑠衣さんの元気な返事に釣られるように、私も小さく頷いて、二人の背中を追いかけた。