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ハンドレッドノート -誰そ彼の少女-

第2章 私にはない絆


現場に戻ると、処理を終えた杖道さんが待っていた。私たちの姿を見つけるなり、ほっとしたように肩の力を抜く。

「おっさん! 解決したぜ!」

瑠衣さんが誇らしげに胸を張って報告する。

「みたいだな。二人ともお疲れ。……名瀬さんは、じっくり見れたかな?」

杖道さんは優しく微笑みながら、私の方へと視線を向けた。その目は、真剣な色を少しだけ孕んでいる。

『はい。皆さん、本当に素晴らしい連携でした』

私が心からの賞賛を言葉にすると、杖道さんは「それはよかった」と、嬉しそうに目元を和ませた。隣の仁さんも、そっぽを向いたままだが、どこか満足げな気配を漂わせている。
緊張の糸が切れたからか、瑠衣さんが自分のお腹をさすりながら声を弾ませた。

「なんか腹減ったな! 飯いこうぜ!」

「いいな。名瀬さんも、一緒にどうだい?」

杖道さんからの温かいお誘い。
出会ったばかりの私を自然にチームの輪に入れてくれようとする彼らの優しさは、少しだけ胸が痛くなるほど居心地がよかった。……けれど、私にはまだ、役目が残っている。

『すみません。行きたいのは山々なんですが……あいにく、この後も予定がありまして』

そう言って、私は申し訳なさそうに曖昧な笑みを浮かべた。

「えーーっ!」

「それは残念だな」

あからさまに肩を落とす瑠衣さんと、苦笑いする杖道さん。出会ったばかりの私との別れを、二人は本当に名残惜しそうに表情に出してくれた。

『すみません。今日は本当にありがとうございました』

私は三人に深く一礼する。

『また、お会いできることを心より楽しみにしております。……では』

心からの言葉を残して背を向けると、後ろからそれぞれの声が私を見送ってくれた。

「じゃーな!」

「またな、名瀬さん」

「……またな」

最後に聞こえた、少し不器用で、けれど確かに届いた仁さんの声に、私は歩きながら小さく口元を綻ばせる。
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