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ハンドレッドノート -誰そ彼の少女-

第2章 私にはない絆


『——今では、とても珍しい、男女の記録者でした。

記録者ですが、親の顔を知らない私にとって、彼らは親のような存在でもありました。

当時の私はまだ小さく、自分の持つ力に振り回されては、よく熱を出していました。そんな私を、彼らは辛抱強く看病してくれました。

そして、彼らは私が事件を解決すれば、我がことのように褒めてくれました。
彼らは、私にたくさんのことを教えてくれました。

事件は悲しいものであり、犯人にも相応の事情があるということ。
第三者である私たちは、犯人を責めてはならないのだということ。

人は他人を本当に理解することは出来ないということ。
でも、だからこそ、他人を尊び、理解しようとすることが大切なのだと。

——やがて私が探偵として成長するにつれ、事件は残酷さを増していきました。謎を解くたび、人の醜さを知り、心を痛める私を見て、心の優しい彼らもまた、胸を痛めていたのだと思います。人の醜さを知るたび、私たちは寄り添い合い、互いの心を癒し合っていました。



ですが、──そんな日々に、ある日突然終わりが訪れました。

街を歩いていた私たちに、男が刃物を持って切りかかってきたのです。
私を庇ったことで、一人が命を落とし、もう一人も深い傷を負いました。
大切な人が傷つく現実に、私は耐えられませんでした。だから私は、生き残った彼女に別れを告げたのです。
彼女は泣いて抗議しましたが、最後は受け入れてくれました。







二人は── 愛し合っていました。生きていたら、いずれ結婚していたかもしれない。

そんな二人の未来を私が壊してしまいました。
私には、もう、残された彼女にも、亡くなってしまった彼にも合わせる顔が、なかったのです。』
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