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鏡の世界の×××

第5章 試練



ああ、何てことをしてくれたんでしょうと盛大に嘆く学園長先生。
たちまち仮面の目元で光る金色を鋭く尖らせ、こちらに向けてきた。
火事を起こした私たちを叱るつもりだったのだろう。

怒った顔は、けれど、あっという間に驚愕に染まった。

「ふな゛ぁぁ~~!!」
『!!おおっ』

噴き上げられたグリムちゃんの炎が間近に迫ったところで、斜め下へと素早く移動して躱した学園長先生。

お説教キャンセルも同然の行いにぷりぷりと更に怒った様子を見せながらも、追撃が来る気配を察知してひとまず距離を取ろうとした――――が、定めた方向には炎が立ち込めていて、進むことができなかった。

ならばこちらにと振り向き様に加速しようとするも、燃え上がる火の海が行く手を阻む。
上手く火を躱しながら強行突破をしようにも一面に広がる炎の波間は、突っ切ることが憚られる燃え盛りっぷりで、思わず『こ、これは……』と余裕が削がれた声で学園長先生が呟いた。

グリムちゃんの炎の魔法の凄さに恐れ慄いたか、改めて火災の惨事を実感したか――どちらの反応によるものかは定かじゃないけれど、これが年貢の納め時。

「グリムちゃん!」
「おう!」

青い炎が、一直線に学園長先生へ襲い掛かった。
逃げ道を塞がれていた学園長先生を、今度こそ炎が捉える。

青々とした輝きを反射させた白い影が火炎の中へと確かに呑み込まれたのを見て、私とグリムちゃんは思わず顔を見合わせた。


失いかけた手応えが戻ってきた実感が、結びついた視線の先で爛々と息衝いている。


綻ぶ口元から感嘆の息を吐きながら、グリムちゃんがもう一度学園長先生が包み込まれた炎を見上げた。

そうして、肉球を掲げて「やった」と喜びの声を上げかけた――その時だった。

ジャンプしたグリムちゃんの声が「やっ」まで発したところで、突如として前方の炎の壁からいくつもの白い影が飛び出してきたのだ。
瞬間、グリムちゃんの上げかけた歓喜の声は「ふな゛ぁ!?」という驚愕の悲鳴にすげ替わり、全身の毛がぼわりと一瞬膨らんだ。
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