第5章 試練
「またゴースト……!?」
「ふなぁ~~!お、オマエ!な、なんとかしろ~!」
大きさも形も様々な影の正体――見覚えのあるシルエットを象ったそれらは、ゴーストの大群だった。
けれど、さっきのゴーストたちが舞い戻ってきた訳ではないらしい。
ひどく近しい形を持っているだけで、顔がない。
まさしく影そのものだった。
幻影みたいな白い影たちが不規則に押し迫り、グリムちゃんの周りを取り囲もうとしている。
すると、燃え盛る青い炎の奥から学園長先生の声が響いてきた。
『さあ、この数を一度に退けられますか!?』
肝心の姿はどこにも見当たらないけれど、学園長先生の高らかな宣告を皮切りに白い影の群れは一気にグリムちゃんに向かってくる。
――――迫りくるゴーストの幻影に怯んだのは、最初だけだった。
今夜だけで、もう何度も繰り返したと言っても過言じゃない行為だもの。
複数の本物のゴーストを退治した時も、ゴーストに扮した学園長先生を捉えたのも、グリムちゃんが私の指示を何だかんだでよく聞いて動いてくれたから。
ようやく掴み直したばかりの実感は、まだ私とグリムちゃんの身体に熱を以って残っている。
「壁に寄ってグリムちゃん!後ろの炎と挟み撃ちにして!」
「ふな゛な゛な゛な゛~っ!!」
指示に合わせて炎が弧を描き、時に青い火の玉となって迫っていた影をまとめて薙ぎ払う。
最初に出てきた本物のゴーストより数が増えても、もう最初のような混乱は私たちにはなかった。
火の海と化した廊下による地の利も、こちらにある。
私が標的と活路を見つけ出して、グリムちゃんが撃つ――。
点と点が歪な線で拙く繋がっているみたいに、だけれど、いつの間にかそれが当たり前になっているみたいに、グリムちゃんと繰り返してきた"協力"が小気味良く感じられる。
そうして夢中になっている間に、気付けばゴーストたちは一体、また一体と姿を消していた。