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鏡の世界の×××

第7章 異世界の朝



「ちぇっ……掃除なんてやってられねェんだゾ」

学園長先生が立ち去ってから、ナイトレイブンカレッジでのこれからに思いを馳せていた私とは反対にグリムちゃんはやっぱり不満を募らせていたようで、可愛らしく舌を打つ。

すっかり空っぽになったティーカップをソファの上に転がすので、あらあらと思いながらそれを拾い上げ、自分の分と一緒にテーブルに置いた。

どうやら、この様子だと乗り気にはなってくれていないようだ。
私としては、せっかく居場所を与えてくれてお仕事もくれた学園長先生に感謝してるから、任せられた以上は頑張りたいのだけれど……。

「グリムちゃん、やっぱりお仕事はイヤ?」
「オレ様も魔法の授業で、バーン!ドドドーン!ってカッケー魔法打ちまくりたいんだゾ~」
「そっかぁ。グリムちゃんは元々、学生さんとしてここにいたかったんだものね」

それなら今の処遇に不満を抱いても仕方ない。

とはいえ、また追い出されるかもしれないところを『雑用係』という名目で置いてもらえることになったのだから、今は今のやるべきことを頑張らないと。
それに授業を受けられないことに対する残念な気持ちは、別の形で昇華することだって出来る。

「お掃除が終わったら図書館で勉強しましょう、グリムちゃん。ほら、学園長先生だって許可してくれたじゃない。学生さんじゃなくても、お勉強はできるよ?」
「ぶつぶつ……」
「グリムちゃーん?」

私の話を聞いているのかいないのか……ジト目で前足を組んだまま何事か――恐らく不服の類だろう――呟いているグリムちゃん。

お顔の前で手をひらひら揺らしてみるけれど、グリムちゃんの意識は全然向けられない。
おそらく無意識なのだろう、尻尾だけはつられてフリフリ揺れていたのが可愛かった。

仕方ないから自分では絶対に動かなさそうなグリムちゃんを抱き上げて、私は学園に向かうことにした。


オンボロ寮を出る前に「いってきまーす」と声を掛けると、どこからともなくイヒヒという笑い声と共に複数の『いってらっしゃい』が木霊した。
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