第5章 試練
「しかし、ふぅむ……。貴方たち2人で協力してゴーストたちを追い出してしまうとは」
「協力とは聞き捨てならねーんだゾ。ソイツはほとんど見てただけだったし?オレ様はツナ缶が欲しくてやっただけだし?」
「私もゴーストの位置とか指示を出したりはしたけど、ほとんど頑張ってくれたのはグリムちゃんだものねー」
私としては"一緒に戦った"という気分でいたものの、グリムちゃんはそうではないらしい。
でも実際に怖い思いを我慢して身体を張ってくれたグリムちゃんの意見を尊重することにして、偉い偉いと頭を撫でる。
リンゴの芯まで綺麗に平らげようとガジガジ齧るグリムちゃんは、尻尾だけをふよふよと穏やかに左右に揺らし、どことなくご機嫌そうにしていた。
頭を撫でられることが嬉しいのか、リンゴの美味しさに舌鼓を打っているからなのかは判別がつかないけれど、構っても嫌がられないことは幸いだった。
いい子、いい子ー。
「……って、あっ!オレ様、まだツナ缶もらってねーゾ!」
「あらー、そうだったわねー」
んー……でもツナ缶、実は持ってないって言ったら怒るかなあ。
学園長先生が持ってきてくれたお夜食の分け前で何とか手を打ってくれるといいのだけれど……。
が、こちらの都合なんて当然お構いなしなグリムちゃんは、ついにツナ缶コールをし始めた。
あらあら、困ったわねぇ。
これはもう正直に言って許してもらうしかないかなと首を傾げていれば「おふたりさん」と学園長先生に呼ばれた。
「ゴースト退治、もう一度見せてもらえます?」
「もう一度?」
「でもゴーストは全部追い払っちまったんだゾ!それより、ツーナー缶ー!」
空腹がある程度満たされてなおツナ缶をねだるグリムちゃん。
もしくは、あれっぽっちでは足りなかったのかもしれない。
いずれにしてもグリムちゃんのさらなる食欲を刺激してしまったのは事実なようで、ツナ缶欲しさに腕の中でジタジタと手足を暴れさせ始めるから抑えるのにも一苦労だった。
食べて体力が回復したから身動きもすっかりパワフルだ。
落ち着いてグリムちゃん、と説得しても聞く耳を持ってくれず、ツナ缶を寄越せの一点張りである。